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文部科学省 グローバルアントレプレナー育成促進事業(EDGEプログラム)
WASEDA-EDGE 人材育成プログラム ~共創館イノベーション・エコシステムの構築~

WASEDA-EDGE 人材育成プログラム
~共創館イノベーション・エコシステムの構築~

起業インターンシップ体験記

起業インターンシップ体験記

今林 広樹(イマバヤシ ヒロキ)

  • 所属:早稲田大学基幹理工学研究科情報理工・情報通信専攻 山名研究室 修士1年
  • インターンシップ先:Digital Garage社(サンフランシスコ)
  • インターンシップ期間:2015年9月~2016年3月

Q.自己紹介をお願いします。

一言:新しい技術をベースにしたスタートアップが好き
暗号化データに対するデータマイニングの実行、及び、その高速化に関する研究を行っています。
具体的には、暗号化されたままのデータに対して計算を可能とする、準同型暗号という技術をベースにしており、1)その上で動作するアプリケーションを作成し、2)準同型暗号の問題点である実行時間の遅さという問題を解決するため、ハードウェアレベルからソフトウェアレベルまで、高速化を目的として最適化を行っています。

Q:起業インターンシップを志望した動機を教えてください。

どうせ行くなら半年間腰を据えてゆきたいと思いました。半年という長期間なら、できるだけ成長角度の大きいチャンスにのりたいと思ったからです。また、社員と同等の仕事内容をする中で、即戦力としてどれほど自分の存在価値が出せるか試したかったからです。最近の日本のスタートアップでも、同等の機会をくれる環境はあると思いますが、言語から異なる海外での経験のほうが、コミュニケーションレベルから居心地が悪くより個人として成長機会に繋がるのではと思いました。

海外でも特にシリコンバレーに行きたかった理由ですが、大きく3つあります。
第一に、どうしてもシリコンバレー現地の雰囲気を体感したかったからです。
現地の人はどれほどにギークなのか、どんなキャラクターをしているのか、なんでそんなにもスタートアップに熱中するのか、とか、何かよくわからない興味や憧れを持っていました。
第二に、できるだけ若いうちからシリコンバレーに足を踏み入れておくことで、何か今後の人生において、大きく方向性が変わることが起こるのではという直感を強く持っていました。また、一生の間に日本に閉じこもって生きたくないと思っていたので、将来海外に進出するときの足がかりとなる一歩が欲しかったっていうのもありました。
第三に、半年というゆっくりした時間をとって、自分の人生を考えなおすための視野広げをしたいと思っていました。
僕は、普段いる領域から外れたことをするっていうのが好きです。これまで、それによって進路の方向性等の視野が広がった経験がいくつかありました。現在コンピュータサイエンスの大学院に在籍していますが、学部生の頃はニューロサイエンスを専攻していました。これも一つの経験ですが、大きく視野が広がったように感じています。同じように、知らない世界に行って何か新しいことをすることで、新しい可能性が見えることをこのシリコンバレーインターンシップに期待していました。

いろいろ話しましたが、実際には、この話があった3秒後に、何も考えず「これ、僕行きますわ」と発言していました。行くと決めた瞬間は、特に動機はなかったように思います。

Q:インターンシップ先の職種と仕事内容、主なスケジュールを教えてください。

インターン先で得たポジションは、マーケティング・リサーチャーです。実際には、インターンシップ期間にエンジニア業務もありました。行った業務内容としては主に3つあります。
1) アニバーサリーイベントの企画・実行・運営
年一回開催されるインターンシップ先企業の大きなイベントで、MIT等のアカデミアに属する研究者からスタートアップのCEOまで、さまざまな有名人をスピーカーとして招き、トレンドのテクノロジーについてトークセッションを行うものでした。準備期間も長く、最もタスク量が多かった仕事でした。具体的には、i)当日アジェンダ企画、及び、スピーカー候補のリスト作成から選定ロジック構成、ii)SNSを用いた広告の作成・運用と企業ブランディング、iii)イベント集客アイデア考案から実行、iv)会場デザイン・必要物品調達等のヘルプ、v)当日の運営ディレクター担当、を主な業務として行いました。
2) 市場トレンド調査とレポート作成
IEEEのビッグデータ国際カンファレンス(サンタクララ)、金融系ビジネスのビッグデータカンファレンス(ニューヨーク)にリサーチャーとして出席し、そこでどのような技術が使われているのか、トレンドとして注目されているビジネスプロダクトは何か等の内容を中心に、サーベイレポートを作成しました。そのレポートを、企業のビッグデータチームや投資チームに共有し、コミュニケーションを交わしたりしました。
3) 日常業務のオートメーションツール開発
これは、インターンシップ先ではなく、同じコワーキングスペースで働くスタートアップにヘルプとして行った仕事です。そのスタートアップは、Facebookの企業ページのインサイトを毎日1時間おきに目で追い、その多様なデータを拾ってきて、ファイルに一つずつ手動でアップデートを行っておりました。その非効率さを解消するため、Facebookのインサイト情報を自動的に引っ張ってきて、ファイルに時間毎のアップデートを記録してくれるツールを開発しました。

一日の主なスケジュールは以下の通りです。

11:00~ 出社、slackやemail等をチェック、一日やることを整理。
11:00~ 業務開始
12:00~ チームランチとミーティング
13:00~ イベント企画/実行・市場リサーチ・エンジニアリング等の業務
15:00~
16:00~
17:00~
18:00~ 業務終了、スタートアップ系のイベントに参加
19:00~ イベントでピザをつまみながら話を聞く
20:00~
21:00~ イベント中に現地の人と交流
22:00~ 帰宅
23:00~ 中途半端な業務を片付ける
24:00~ 友達とスカイプ、趣味の時間
25:00~ 就寝

Q:海外生活で苦労した点、楽しかった事、週末の過ごし方など教えてください。

・苦労した点

主に「英語」と「結果を出すこと」の2点に苦労しました。
英語に関して、特にはじめのころは、全く何を言っているのか聞き取れなかったり、自分の思っていることをうまく相手に伝えられなかったり、ということがほとんどでした。オンライン英会話とネイティブの英会話との間に大きな差を感じました。
また、結果を出すことに関しては、特に上のアニバーサリーイベントの実行フェーズにおいて苦労しました。例えば、集客人数のKPIに対して、なかなか自分のたてたシミュレーション通りに増えなかったり、考えられるすべての打ち手を打ってしても効果がなかったり、ということが日々続きました。これにはかなり堪えました。

・楽しかった事

仕事面での楽しかったことは、主に3つあります。一つ目に、上記の苦労した点を打開できたときに楽しさを感じました。愚直にやればできないことはない、ということが経験できました。二つ目に、イベントを無事に終えた時の達成感と、チームプレイは何事にも代えがたい大きな思い出です。三つ目に、 ニューヨークへ市場調査のために飛んだり、レポートを介した投資チーム等とのコミュニケーションをとったりすることで勉強になる点が多く、有意義で楽しかったです。

・週末、休暇の過ごし方

週末には、友達とサイクリングを楽しんだり、映画や遊園地にいったり、ドライブで太平洋のサンセットを見に行ったり、アプリケーション開発やハッカソンへの参加をしたりなどいろいろしていました。
長期休暇には、ニューヨーク、ボストン、ロサンゼルス、ラスベガスなど名所の観光しました。

Q:このインターンシップで感じた事、得られた事、感想など教えてください。

インターンシップで得られたことに関し、マーケティング・エンジニアリングスキルの向上と実戦経験は当たり前なので、それ以外のことを述べます。印象的に感じたこととして2つあります。
一つ目に、“人とのつながりとGIVEすることの大切さ”です。
シリコンバレーでは、ビジネスをするにも何をするにも、人とのつながりがベースになっています。これは人として生きる以上当たり前とは思いますが、特に違う点は、つながるために、“不自由さや制限がない”ことです。逆に、つながるための機会がたくさん用意されています。例えば、「Aさんと会いたい」と発言したら、「おれ知ってるよ。つなげるよ。」でつながっていきます。この2者が初対面でも日常茶飯事のことです。GIVEすることに何の惜しみもないように感じます。これを連続的に経験していると、彼らとのつながりを大切にしたいと思うし、自分もGIVEできるようになりたいとも思います。ヒトから学ぶ点が本当に多いなと思いました。
二つ目に、“自分に制限をかけて生きることの切なさ”です。
まず、なんといっても、シリコンバレーの特徴が、偉人とのキョリが異常に近いということです。日本だったら雲の上の存在になっている有名人が、目の前で普通にしゃべっています。そして、“彼らもまた同じ人間だ”ということに気づきます。普通では会えないような成功者が、過去の経験談を語り、聴衆は自分と照らし合わせ、自分にもできるという発想をもちます。この体験があるからこそ、しがらみにとらわれず、生き生きとしたオープンマインドなキャラクターができるんだと思いました。そのようなことを経験する中で、自分の能力にも考え方にも何に対しても制限をかけてしまう切なさを実感しました。

Q:今後のキャリア展開、今後チャレンジしたいことを教えてください。

お金をしっかり稼ぎながら、世の中に対して大きな貢献をできる人間になります。挑戦したいことの一つに、セキュリティの分野で現在の研究を実用化していくことがあります。ただ一方で、現実をみながらできるところからビジネスに繋げられたら良いなと考えています。最近は、目の前のことをやっている間に、具体的な今後のアクションも定まらず、気づけば時間が経っているので、なんとかせねばと焦りを感じています。

Q:WASEDA-EDGEプログラムに一言お願いします。

めったに経験のできない、このような機会を頂けたことに、感謝してもしきれないほどです。今でも、インターンシップしていた頃を思い出しては懐かしむ、ということがあるくらい濃密な日々でした。WASEDA-EDGEプログラム初の試みとしてプログラムの立ち上げからご尽力された朝日透先生、シリコンバレー現地企業に機会をつなげてくださったスティーブ・パーラックさん、インターンシップの相談から細かい書類の取り計らいまでお手伝いくださった博士キャリアセンターのスタッフの皆さん、またこのインターンシップに関わった全ての方々、本当にありがとうございました。